

それでは、実際に相続税の申告はどのように行われるか見てみましょう。
相続税は、相続や遺贈等によって取得した財産が一定金額を越えた場合に申告が必要です。

STEP1 正味の財産額の算出
STEP2 課税対象遺産の総額の算出
ここまでで、相続税がかかるかどうかがわかります。
STEP3 相続人みんなで負担する相続税の総額の計算
STEP4 相続人の各人納付すべき相続税額の計算
申告期限:相続開始から10ケ月以内
提出先:被相続人の死亡時の住所地を管轄する税務署
納税:原則として全額現金で納付が必要です。
相続財産の評価は、原則として時価ですが、
実際には、相続税法や国税庁の通達に従った評価額(相続税評価額)をもとに行います。
財産評価の詳細は「財産評価基本通達」にありますが、
以下にその主なものをご紹介いたします。
市街地にある宅地 |
路線価(土地の形状による減額補正後)×宅地面積×土地の位置や形状により補正した率 |
路線価のついていない宅地 |
固定資産税評価額×所定の倍率 |
貸地や貸家の建っている土地 |
借地権割合や借家権割合を考慮して評価します。 |
家屋 |
固定資産税評価額 |
貸家 |
家屋の評価額から借家権の価額を控除して評価します。 |
上場株式証券 |
下記のいずれか低い価額①相続開始日の終値課税時期の属する月 以前3カ月の毎日の終値の各月ごとの平均額のうち最も低い価額 |
非上場株式証券 |
会社の利益・配当・資産価値をもとに計算する類似業種比準価額または配当還元価額など または相続税評価基準による純資産総額ケースバイケースでどの評価額を採用するかが変わります。 |
普通預金・通常貯金 |
相続開始日の預入残高 |
定期預金 |
相続開始日の預入残高+相続開始日に解約した場合の |
死亡退職金 |
受取金額-非課税枠(500万円×法定相続人数) |
生命保険金 |
受取金額-非課税枠(500万円×法定相続人数) |
一般動産 |
調達価額(不明なものは新品小売価額-経過年数に応じた減価額) |
自動車 |
調達価額または新品小売価額-経過年数に応じた減価額のいずれか |
ゴルフ会員権 |
取引相場×70% |
親族でもめていて、申告の期限内に遺産分割ができない場合は、
申告書の提出はどうすればいいのですか?

一度もめてしまうと、なかなか分割協議が整わないものです。
その場合は、分割されていない財産について、民法で規定する法定相続分
(又は包括遺贈の割合)に従って取得したものとして課税価格を計算し、
その税額分を申告します。
その後遺産分割が終了し、税額の増加・減少が
あった場合には修正申告・更正の請求を行い、税額を訂正します。

相続税を納めなければならないのに納税しなかった場合はどうなりますか?

税金を納めなくて済むようにと考えてしまう人も多いようですが、
税務署もいろいろな形で、調査をしてきて、納税義務が発生していそうな方には、
税務署から電話や書面で申告するように促されます。
それでも申告に応じない場合には、税務調査が行われその結果に基づいて
相続税額が決定します。
この場合、無申告加算税(納付すべき税額の15%)
や延滞税なども発生する可能性があります。
なお、「仮装」や「隠ぺい」により、
申告を行わなかった場合は、無申告加算税は納付すべき税額の40%となります。
やっぱり、すっきり申告した方がよさそうですね。

申告した税額が実際より少なかった場合はどうすればいいですか?

修正申告書を提出して不足額を納税しなければなりません。
この場合、不足税額のほかに過少申告加算税や延滞税が課せられることも
あります。
納税者が修正申告書を提出しないと、税務署長が更正を行います。

申告した税額が多かった場合は、どうすればいいですか?

法定申告期限から1年以内に限り、
課税価格や税額を減額するための
更正の請求をすることができます。
次のような理由により税額を算出し直した
結果、税額が減少する場合には、
法定申告期限から1年以上が経過していた
としても 更正の請求ができます。
・申告に含めていた相続財産を他の人が相続することになった
・申告時は法定相続分により分割したが、改めて遺産分割が行われた
・遺留分の減殺請求による返還・弁償が行われた

相続税を一度に払えない場合には、どうしたらいいでしょうか?

相続財産のほとんどが不動産を占めていて、現金や預金がないなど、
多額の相続税を一度に払えないケースもありますよね。
そのような場合は、延納や物納が認められます。
相続税は原則として一時期に納付するものですが、一時に納付することが困難な場合には
一定の手続と条件のもと年賦延納が認められています。
条件
・納付すべき相続税額が10万円を超える
・納税義務者について納期限までに、金銭でのうふすることが困難である。
納期限までに延納申請書に担保の提供に関する書類を添えて税務署に提出
ただし、延納には年3.6~6.6%の利子税を支払う必要がありますので、
メリット、
デメリットを考えないといけないですね。
延納でも納付が困難な場合には、一定の手続と条件のもと物納が認められます。
物納とは金銭の代わりに、相続財産である有価証券や不動産などの物で納める方法です。
物納できる財産は、何でもよいというものではなく国が管理処分するのに適したものでなければなりません。

以下の順番で物納の対象になります。
第一順位 国債、地方債、不動産、船舶
第二順位 社債・株式などの有価証券
第三順位 動産
物納をしようとする場合には、
納付期限(相続開始から10カ月以内)までに物納申請書を
税務署に提出しなければなりません。
また、物納の手続後、一定期間内に限り物納を撤回して
本来の金銭による納付に戻すこともできます。